Lesson. 08|AIツール編
8-1|LLMとは
「LLM」とは、Large Language Model(大規模言語モデル)の略です。このレッスンでは「LLM」について学んで行きましょう♪

LLMの概要
LLMは、大量のテキストデータを使って訓練されたAIモデルで、人間の言語を理解・生成する能力を持ちます。ChatGPTやClaude、Geminiなどが代表例です。
主な特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 大量の学習データ | 書籍、Web、ニュースなど、膨大なテキストから学習 |
| 自然な言語生成 | 人間のような文章を生成できる |
| 汎用性 | 質問応答、要約、翻訳、コード生成など多用途に対応 |
| コンテキスト理解 | 会話の流れや文脈をある程度理解可能 |
LLMの代表例
| モデル名 | 開発元 | 特徴 |
|---|---|---|
| GPT (ChatGPT) | OpenAI | 自然な会話やコーディング支援が可能 |
| Claude | Anthropic | 安全性・倫理性を重視した設計 |
| Gemini | 検索連携・マルチモーダル対応 | |
| LLaMA | Meta | オープンソースの代表格 |
活用例
- チャットボット(カスタマーサポートなど)
- ブログ記事やマーケティング文の作成
- プログラミング支援(例:コードの自動生成)
- データ要約やレポート作成
- 翻訳、メール文作成など日常業務の効率化
AIを使用する際の注意事項(個人情報・ハルシネーション)
AI(特にLLM)を使用する際には、便利な反面、いくつかの重要な注意点があります。
以下に「個人情報」と「ハルシネーション(AIの誤情報)」について学んで行きましょう♪
1. 個人情報に関する注意点
| 注意事項 | 内容 |
|---|---|
| 個人情報を入力しない | 氏名、住所、電話番号、マイナンバー、クレジットカード情報などは入力しないようにしましょう。 |
| 企業機密・機密情報もNG | 業務データや社内資料など、外部に漏れるとリスクのある情報も控えるべきです。 |
| AIはログを保持する可能性がある | 多くのサービスでは、ユーザーの入力内容が品質向上のために保存・分析されることがあります。 |
| AI出力の利用に責任がある | 出力された文章をそのまま使用するのではなく、適切に確認・修正を行う必要があります。 |
2. ハルシネーション(AIの誤情報)に関する注意点
| 注意事項 | 内容 |
|---|---|
| 事実と異なる情報を自信ありげに話す | AIは「もっともらしい」文を生成するため、存在しない法律・統計・人名を提示することがあります。 |
| 常に事実確認を行う | 医療・法律・学術・ビジネス判断に使う前には、必ず信頼できる一次情報で確認しましょう。 |
| AIは「知識の正確性」を保証しない | 特に最新のニュースや制度、法改正などには追いついていない可能性があります。 |
| 「自分で考えている」わけではない | 文脈からそれっぽい答えを生成する仕組みであり、AIは意味や真偽を理解しているわけではありません。 |
3. その他の注意点
| 注意事項 | 内容 |
|---|---|
| 著作権 | AIの出力内容が既存の著作物に類似することがあり、商用利用時には要確認。 |
| 倫理・差別的表現 | 訓練データに含まれる偏見を引き継ぐ場合があるため、表現には注意。 |
| 依存性 | 思考を放棄してAI任せになると、思考力や判断力が低下する可能性があります。 |
安全に使うための基本ルール
- 重要な情報を含めない
- 出力結果は鵜呑みにせずチェックする
- 公開・商用利用時は法的・倫理的観点から確認
- セキュリティ方針に従った使い方をする
企業におけるAI利用ガイドライン(ひな形)
第1章:目的
本ガイドラインは、生成AI(例:ChatGPT、Claude、Gemini 等)の適切かつ安全な利用を促進することを目的とし、業務におけるリスクを最小限に抑えるための基本方針を示すものです。
第2章:適用範囲
本ガイドラインは、当社に所属するすべての従業員、業務委託者、および関係者に適用されます。
第3章:利用目的
生成AIの利用目的は以下に限定されます
- 文書作成・要約・翻訳の補助
- コードやスクリプトの自動生成・チェック
- アイデア出し・ブレインストーミング
- 簡易なデータ整理や分析補助
※意思決定そのものをAIに委ねることは禁止します。
第4章:禁止事項
以下の内容をAIに入力・共有してはなりません:
- 顧客情報、個人情報(氏名・住所・電話番号など)
- 社内機密情報、営業機密、契約書類、未公開資料
- パスワードやログイン情報
- 業務における未承認の利用目的
第5章:出力結果の取扱い
- AIの出力は「参考情報」であり、正確性は保証されないものと理解してください。
- 出力内容の真偽や著作権、法的適合性を必ず確認すること。
- 無断で顧客資料や提案資料に使用しないこと。
第6章:利用環境とツール
- 使用するAIツールは、情報漏洩のリスクが管理されているものを推奨します(例:社内専用GPT、API利用による自社構築ツールなど)。
- 公開版AI(例:chat.openai.com等)を使用する場合、入力情報の管理に十分留意すること。
第7章:ログと記録
- 重要な業務判断や成果物にAIを使用した場合、その使用内容・確認過程を記録しておくこと。
- 利用履歴の管理を行い、トラブル時に追跡可能とする。
第8章:教育と周知
- 社員にはAIの利用に関する教育・研修を定期的に実施します。
- 本ガイドラインは常に最新の情報に基づき見直しを行います。
第9章:違反時の対応
本ガイドラインに違反した場合は、社内規定に基づき懲戒または処分の対象となることがあります。
付録:参考リンク(必要に応じて)
- 個人情報保護法(PPC)
- OpenAI / Claude / Google のプライバシーポリシー
- 社内のセキュリティ基本方針文書
ChatGPTと他のAI(Claude, Gemini, Bingなど)との比較
以下に、ChatGPT(OpenAI)と他の主要なAI(Claude、Gemini、Bing)との比較表と、特徴ごとの解説をまとめました。
主要AIモデル比較一覧(2025年時点)
| 項目 | ChatGPT(OpenAI) | Claude(Anthropic) | Gemini(Google) | Bing Chat(Microsoft Copilot) |
|---|---|---|---|---|
| 主なモデル | GPT-4o / GPT-5 | Claude 3 Opus / Sonnet / Haiku | Gemini 1.5 Pro / Flash | GPT-4(OpenAI提供) |
| 開発元 | OpenAI(Microsoft支援) | Anthropic(元OpenAI出身) | Google DeepMind | Microsoft × OpenAI |
| 対応言語 | 多言語(日本語も高精度) | 英語中心だが日本語も良好 | 日本語に強い(Google検索連携) | 日本語対応良好(Bing検索連携) |
| 強み | 高性能・安定性・拡張性 | 倫理性・丁寧な返答・安全設計 | 検索・Google製品との親和性 | リアルタイムWeb検索対応 |
| マルチモーダル対応 | (画像・音声:GPT-4o) | 一部対応 | (Gemini 1.5で画像など) | (画像入力など対応) |
| 精度・知能 | 非常に高い(特にGPT-4o) | OpusはGPT-4級 | Proは高精度、Flashは高速 | GPT-4相当(ブラウザ内蔵) |
| 使いやすさ | Web/アプリ/API対応 | Web中心(claude.ai) | Googleアカウントで利用可能 | EdgeやCopilotで統合 |
| 料金 | 無料(GPT-3.5) / 有料Plus(GPT-4o) | 無料(Sonnet) / 有料(Opus) | 無料~有料(Google One統合) | 無料(Bing/Edgeユーザー) |
各AIの特徴を簡単に解説
ChatGPT(OpenAI)
【公式】https://chatgpt.com/ja-JP/overview?openaicom_referred=true
- モデルの完成度が高く、日本語も自然
- GPT-4oは音声・画像・動画にも対応(マルチモーダル)
- カスタムGPTが作れる
- API提供が強力 → 開発者にも人気
向いている用途
幅広い業務支援、開発・ライティング、AI活用の第一選択肢
Claude(Anthropic)
- 安全性・倫理性を重視(ハルシネーションが少ない傾向)
- 長文の処理に強い(数十万トークン保持可能)
- 比喩や感情表現が非常に丁寧
向いている用途
教育、文書レビュー、慎重なAI利用
Gemini(Google)
【公式】https://gemini.google.com/app
- Google検索と連携して最新情報が取得可能
- Gmail、Googleドキュメント、YouTubeなどGoogleサービスと統合
- Gemini 1.5はマルチモーダル対応&大量文脈保持
向いている用途
情報収集、Googleサービスと連携した業務効率化
Bing Chat(Microsoft Copilot)
- ChatGPTベース(GPT-4)を搭載
- Microsoft Edge・Word・ExcelにCopilotとして統合
- 最新Web検索に対応している
向いている用途
調査・検索・Microsoft製品を使う業務
選ぶときのヒント(あなたの目的別)
| 目的・重視点 | おすすめAI |
|---|---|
| 多機能・最先端・開発にも使いたい | ChatGPT(GPT-4o) |
| 長文や人に近い思考・安全性重視 | Claude Opus |
| Google連携・検索中心の活用 | Gemini |
| Word・ExcelなどMicrosoft製品連携 | Bing Chat(Copilot) |
それぞれの「強み」を活かすのがコツ
併用も可能です。用途に応じて使い分けるのが◎
- 「アイデア出し」→ ChatGPT
- 「信頼性の高い資料生成」→ Claude
- 「最新ニュース」→ Gemini / Bing
Lesson. 08|AIツール編