11-1｜請求書・見積書について

Lesson. 11｜書類編

請求書について

請求書とは

請求書とは、商品やサービスを提供した後に、代金の支払いを依頼するための書類です。
発行者（売り手）が受取人（買い手）に対して、「いつ・何を・いくらで販売したか」を明確に示します。

請求書の基本構成（必須項目）

項目	内容	記載例
① 請求書タイトル	一目で請求書とわかるように	「請求書」「御請求書」など
② 請求日	請求書を発行した日付	2025年10月31日
③ 請求書番号	取引を管理するための番号	INV-20251031-001
④ 宛名	相手先企業名・担当者名	株式会社○○ 御中 / ○○様
⑤ 請求元情報	自社名・住所・連絡先・担当者	株式会社○○ 〒XXX-XXXX 東京都○○…
⑥ 請求内容	商品・サービスの明細	項目名、数量、単価、小計など
⑦ 請求金額	税抜・税込・合計を明記	小計 100,000円 + 消費税10% = 合計 110,000円
⑧ 支払期限	支払い期日を指定	2025年11月30日まで
⑨ 支払方法	銀行口座・支払条件など	振込先：○○銀行 ○○支店 普通 1234567 カ）○○
⑩ 備考欄	任意（メッセージや注意事項）	「いつもありがとうございます」など

書き方のポイント

日付・金額の誤記は厳禁

取引トラブルの原因になります。発行前に必ず確認。

税込金額を明確に記載

消費税率（10% / 軽減8%）を区別し、税抜と税込を両方明示。

請求先の正式名称を使用

「御中」「様」の使い分けに注意（企業名には御中、個人には様）。

支払期日と口座をはっきりと

「末日」だけでなく、年月日を明記するのが望ましい。

会社情報は見やすく配置

ロゴ・印影を入れると信頼性が高まります。

注意点

注意項目	詳細
インボイス制度対応	登録番号を記載（例：T1234567890123）
消費税	区分経理が必要（税率ごとに分けて明記）
請求書保存	電子データの場合も保存義務あり（電子帳簿保存法対応）
誤送信対策	宛先確認を徹底（特にPDF送付時）

非課税事業者の場合（免税事業者）

作成ツールの例

• Excel／Googleスプレッドシート：自社フォーマットを簡単に作成可
• Word／Googleドキュメント：ロゴ入りできれいな仕上がり
• 会計ソフト：freee、マネーフォワード、弥生などは自動発行可能
• Canva：デザイン性重視のテンプレートでブランド感を出せる

請求書と見積書との違い

ビジネス上では「見積書」と「請求書」はよく似ていますが、発行するタイミングと目的がまったく異なります。

基本の違い

項目	見積書	請求書
目的	取引前に、費用の目安を提示する	取引後に、代金の支払いを依頼する
発行タイミング	商品・サービス提供の「前」	商品・サービス提供の「後」
内容	「予想される金額」や条件を記載	「確定した金額」や支払い情報を記載
法的効力	原則なし（契約の参考資料）	契約上の支払請求として法的効力を持つ
金額変更	後から変更される可能性あり	原則変更不可（確定金額）
使われる場面	提案・打ち合わせ・見積依頼時	納品後・検収後・支払請求時
添付書類	提案書・仕様書とセットで提出されることが多い	納品書・領収書とセットで扱われることが多い

具体的なイメージ

見積書（例）

「この内容で制作した場合、費用は 10万円（税込） になります。」
→ 顧客に費用の目安を提示する書類。

請求書（例）

「納品が完了しました。ご契約内容に基づき 10万円（税込） をお支払いください。」
→ 実際にお金を請求するための正式書類。

注意点

項目	注意点
税金対応	請求書は「インボイス制度」に対応が必要（登録番号記載）
見積有効期限	見積書には「有効期限」を明記しておくとトラブル防止
見積書＝契約書ではない	承認印などがあっても、それだけで契約成立とは限らない
請求書は証拠になる	トラブル時に「請求の事実」を示す法的証拠になる

まとめ

比較項目	見積書	請求書
発行目的	取引条件の提示	代金支払いの請求
タイミング	契約前・発注前	納品後・契約履行後
法的効力	弱い	強い（証拠となる）
書き方のポイント	有効期限・条件を明確に	請求金額・期日・口座を明確に

見積書について

見積書とは

見積書（みつもりしょ）は、商品やサービスを提供する前に、「この内容なら、これくらいの費用になります」と提示する書類です。つまり、取引前の「価格提案」を行うためのものです。

見積書の基本構成

項目	内容	記載例
① 見積書タイトル	書類の種類を明確に	「見積書」「御見積書」
② 見積日	見積書を作成した日付	2025年10月31日
③ 見積書番号	管理番号（任意）	EST-20251031-001
④ 宛名	見積先企業・担当者	株式会社○○ 御中／○○様
⑤ 発行者情報	自社名・住所・担当者など	株式会社Welfill 〒530-0001…
⑥ 見積内容	提供予定の項目、数量、単価、小計	Webサイト制作 1式 100,000円
⑦ 小計・税額・合計	税抜・税込を明確に	小計100,000円＋税10,000円＝合計110,000円
⑧ 有効期限	この金額が有効な期間	発行日から30日間有効
⑨ 支払条件	支払方法・期日など	納品後30日以内、銀行振込
⑩ 備考欄	特記事項・注意事項など	「内容変更がある場合は再見積いたします」など

書き方のポイント

金額は「税抜」「税込」を明確に

• 「税抜価格」と「消費税（10%）」を分けて記載。
• インボイス制度に対応している場合は登録番号も書く。

有効期限を必ず記載

• 見積価格はあくまで「現時点」での価格。
• 「本見積書の有効期限は発行日より30日間です」など明記。

曖昧な表現を避ける

• 「一式」などの記載は内容説明を添える。

割引・特別条件がある場合は明記

「キャンペーン割引5%」などを明確に。

デザイン・印象も大切

企業ロゴや見やすいレイアウトを使うと信頼感が上がります。

注意点

比較	見積書	請求書
タイミング	取引前	取引後
目的	費用の提示	支払請求
内容	予定金額・条件	確定金額・支払情報
有効期限	必要	不要（支払期日を明記）
法的効力	弱い	強い（請求権発生）