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11-3|契約書について

Lesson. 11|書類編

11-3|契約書について

オンライン秘書として「契約書」を作成する場合、単なる書面作成ではなく、業務内容・責任範囲・守秘義務・報酬条件などを明確化して、トラブルを未然に防ぐ。という目的があります。このレッスンでは「契約書」について学んで行きましょう♪

契約書を作る目的

  • 業務内容・範囲を明確化し、誤解やトラブルを防ぐ
  • 報酬や支払い条件を明記して、未払いを防止
  • 秘密保持・情報管理のルールを明確にする
  • 契約解除の条件をあらかじめ定めておく

契約書に盛り込むべき基本項目

項目 内容
1. 契約当事者 委託者(クライアント)と受託者(あなた)の氏名・住所・連絡先
2. 契約の目的 「オンライン秘書業務の委託契約」と明記
3. 業務内容 スケジュール調整、メール対応、資料作成、リサーチなど具体的に記載
4. 業務期間 例:2025年1月1日〜2025年12月31日 ※自動更新の有無も明記
5. 報酬・支払い方法 金額・支払日・振込先・源泉徴収の有無など
6. 秘密保持条項(NDA) 業務で知り得た情報を第三者に漏らさない旨を明記
7. 再委託の禁止 第三者への業務再委託を禁止するかどうか
8. 損害賠償責任 契約違反時の責任範囲(過失の有無や上限額など)
9. 契約解除条項 双方の合意・契約違反・信頼関係の破壊など解除理由を規定
10. 紛争解決 管轄裁判所を「受託者の住所地」または「東京地方裁判所」等で指定
11. 契約書の作成方法 紙2通・電子署名サービス(クラウドサインなど)での締結も可

作成時の注意点

「曖昧な表現」を避ける

例:「必要に応じて対応する」→具体的に「週3回、1回1時間のミーティング対応」とする。

「成果物の権利帰属」を明確に

資料・画像などを作成する場合、「著作権はクライアントに譲渡」「二次利用可否」を定める。

「報酬の発生条件」を明示

例:業務完了後○日以内、月末締め翌月10日払い、など。

「オンライン完結」前提の契約書

印鑑不要で、電子契約(クラウドサイン、DocuSign)を利用するのが一般的。

「トラブル時の対応」を明記

納期遅延・支払遅延・途中解約など、想定トラブルを事前にルール化。

実務的アドバイス

  • 契約書はPDF化+クラウドサインで保存
  • SlackやChatworkなどの「指示メッセージ」も履歴として保存

 

以下では、オンライン秘書(業務委託)契約書の実務でそのまま使えるレベルの詳細版ひな形を示します。
クラウドサイン・PDF契約いずれでも利用可能な構成で、個人事業主・法人どちらにも対応しています。

 オンライン秘書業務委託契約書(実用版テンプレート)

オンライン秘書業務委託契約書

第1条(契約の目的)

本契約は、委託者(以下「甲」という。)が、受託者(以下「乙」という。)に対してオンライン秘書業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙がこれを受託することに関し、両者の権利義務関係を明確にすることを目的とする。

第2条(業務内容)

乙は、甲の指示に基づき、以下の業務を遂行する。
 (1) スケジュール管理、会議調整、メール・チャット対応
 (2) 議事録・レポート・資料の作成補助
 (3) 顧客対応・データ入力・リサーチ業務
 (4) 経理補助業務(請求書作成・経費精算補助など)
 (5) SNS運用・投稿補助、その他甲が依頼する秘書業務全般
乙は、甲からの業務指示を受け、オンライン環境(メール、チャット、クラウドツール等)により本業務を遂行する。
乙は、甲の事前の書面(電子メールを含む)による承諾なくして、本業務を第三者に再委託してはならない。

第3条(契約期間)

本契約の有効期間は、契約締結日から1年間とする。
契約満了日の1か月前までに甲または乙から書面による解約の申し出がない場合、本契約は同一条件で自動的に1年間更新されるものとする。

第4条(報酬および支払い方法)

甲は、乙に対し、本業務の対価として、月額○○円(税込)を支払う。
支払方法は、毎月末日締め、翌月10日までに乙の指定口座に振り込むものとする。
振込手数料は甲の負担とする。
乙が消費税課税事業者である場合、報酬には消費税相当額を加算する。
乙が作業時間ベースで業務を行う場合、甲乙協議のうえ、時間単価および報告方法を別途定める。

第5条(業務遂行)

乙は、善良なる管理者の注意をもって誠実に本業務を遂行するものとする。
乙は、甲の指示に従い、業務進行状況を適宜報告しなければならない。
業務上発生した不明点やトラブルについては、速やかに甲へ報告するものとする。

第6条(秘密保持)

乙は、本業務遂行上知り得た甲の営業上、技術上、個人情報その他一切の機密情報を第三者に開示、漏洩してはならない。
前項の義務は、本契約終了後も継続する。
乙が本条に違反した場合、甲は損害賠償を請求できるものとする。

第7条(成果物の権利)

乙が本業務の遂行により作成した文書、データ、資料その他成果物に関する著作権その他の知的財産権は、甲に帰属するものとする。
乙は、甲の承諾を得ずに成果物を自己または第三者のために利用してはならない。

第8条(損害賠償)

乙が本契約に違反したことにより甲に損害を与えた場合、乙は甲に対してその損害を賠償する責を負う。ただし、乙の故意または重過失によらない場合はこの限りでない。

第9条(契約解除)

甲または乙は、相手方に以下の事由が生じた場合、催告なしに本契約を解除することができる。
 (1) 契約条項に違反し、相当期間を定めた催告にも関わらず是正しないとき
 (2) 支払い停止または破産、民事再生の申し立てがあったとき
 (3) 信頼関係が著しく損なわれたとき
甲が業務の必要性を失った場合、1か月前までに書面で通知することで契約を中途解除できる。

第10条(反社会的勢力の排除)

甲および乙は、暴力団・反社会的勢力でないことを保証し、将来にわたって関与しないことを確約する。

第11条(不可抗力)

地震、火災、天災、通信障害、感染症拡大等の不可抗力により業務遂行が困難となった場合、甲乙は互いに協議のうえ、契約条件の見直しまたは一時停止を行うものとする。

第12条(契約の譲渡禁止)

乙は、甲の書面による事前承諾なしに、本契約上の地位または権利義務を第三者に譲渡・担保設定してはならない。

第13条(協議事項)

本契約に定めのない事項または疑義が生じた場合は、甲乙誠意をもって協議し、円満に解決するものとする。

第14条(合意管轄)

本契約に関する一切の紛争は、甲の所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

署名欄

本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印(または電子署名)のうえ、各自1通を保有する。
甲(委託者) 乙(受託者)
住所:〒__________   住所:〒__________
氏名:___________   氏名:___________
日付:令和__年__月__日   日付:令和__年__月__日

付属資料(任意で添付)

① 業務内容の詳細(スケジュール・報告方法など)
② 個人情報の取扱いに関する覚書(必要な場合)
③ 成果物納品チェックリスト(納期・形式など)

実務運用のコツ

  • クラウドサインで電子契約 → PDF保管(紙不要)
  • Dropbox / Google Driveに「契約書フォルダ」を作って整理
  • 顧客ごとにテンプレート化して、業務範囲や金額だけ差し替える

Lesson. 11|種類編