エージェントモードとは(有料プラン)
2025年7月に発表された ChatGPTエージェントモード は、従来のチャットボットを超えて、複雑なデジタルタスクを「自律的に遂行する」ための機能です。
ウェブ調査・フォーム入力・表編集・外部データ連携まで段取りして実行してくれるモードです。
オペレーター(Operator)の「ウェブサイトをスクロール・クリック・入力する能力」とディープリサーチの「分析・情報統合能力」を統合し、さらにターミナルや外部アプリへの接続機能も備えています
例えば、ユーザーが
- 「カレンダーを見て最近のニュースに基づく会議準備をして」
- 「4人分の和朝食の材料を計画・購入して」
- 「競合他社を分析してスライドを作って」
と頼むと、エージェントは仮想のコンピューター上でウェブブラウザを操作したり、APIからデータを取得し、コードを実行してファイルを生成するなど、複数のツールを使い分けてタスクを完結まで遂行します。
現在、無料プランでは利用できません。
できること
- ウェブ操作つきの深い調査:サイトを開く→読む→比較表を作る→根拠を添えて要約。必要に応じてフォーム入力やスプレッドシート編集も実行。
- 手持ちファイル+ネット横断:アップロードしたPDF/CSVとインターネット情報、コネクタ(Google DriveやSharePoint等)を横断して参照。
- マルチステップのタスク進行:ゴールから逆算してサブタスク化→ツールを切替えながら完了まで進める“エージェント的”挙動。
- 例)「10/20開催の勉強会会場を探して。自社カレンダーの空きも確認し、比較表を作って最適案を予約フォームに入力」と頼むと、調査〜比較〜入力まで1つの流れで進行します。
使い方(起動手順)
チャットのツールメニューから「エージェントモード」を選択。
“完了条件・制約・必要データ”を文章で指示。
料金プランごとの上限(代表値)
- Plus:月40回
- Pro:月400回
- Business / Enterprise:原則月40回(可変課金テナントはクレジット制)
最新のリミットはヘルプの該当ページをご確認ください。
うまく使うコツ(プロンプト雛形)
- ゴール:「何が“完了”か」を一文で
- 制約:予算・日付・必須条件・禁止事項
- 出力形式:表・チェックリスト・下書き文面 など
- 操作許可:フォーム入力OK/NG、外部接続の範囲
例:
「10/25(土)大阪で20名入る会議室を3件探して。9:00–13:00で空き、プロジェクタ有、2万円以内。比較表を作り、最安を仮予約フォームに入力まで。予約は送信直前で停止して確認させて。」
エージェントモードの具体的な活用方法
1) 競合・市場調査 → 比較表&要点要約
狙い:Webを横断してスペック・料金・差別化要素を表に集約。
プロンプト例
目的:{自社サービス}の競合比較を作る。
対象:{A社, B社, C社}+他に見つかった有力1社。
条件:最新の料金、主要機能、無料トライアル、導入事例、FAQの“制約・注意点”。
出力:①比較表(CSV/表形式)②結論(3行)③一次情報URL。
操作許可:閲覧のみ。フォーム入力はしない。
完了条件:表の空欄は“未確認”で残し、再調査候補を列挙。
2) 会場/店舗予約の一次実行(送信前で停止)
狙い:条件フィルタ→候補抽出→最安を予約画面まで入力。
プロンプト例
目的:{日付}{時間帯}{エリア}で{人数}名、{必須設備}、予算{上限}円。
ステップ:検索→3件抽出→比較表→最安を予約フォームに入力。
注意:送信直前で停止して私に確認させる。
出力:比較表、最適案の根拠、入力画面のスクリーン状態ログ。
3) 価格リサーチ&見積りフォーム下書き
狙い:仕入れ・外注の相見積りを半自動化。
プロンプト例
目的:{品目/仕様}の相見積り。
条件:納期{X日以内}、発送元{地域}、支払条件{例:月末締め翌月末}。
出力:価格帯レンジ、送料/手数料の内訳、相場の中央値、問い合わせテンプレ。
操作許可:問い合わせフォームの入力下書きまで(送信は止める)。
4) 口コミ/レビューの要点抽出 → 改善バックログ化
狙い:複数サイトのレビューを読み、肯定/不満/要望をラベル付け。
プロンプト例
対象:{App Store/Google Maps/価格.com/Note等}のレビュー上位{N}件/最新{M}件。
出力:①ポジ/ネガ/要望の分類一覧②改善アイデア(工数/効果予測つき)③引用URL。
操作許可:閲覧のみ。表はCSVでエクスポート。
5) SEOクイック監査(競合3社+自社)
狙い:タイトル/見出し/内部リンク/速度/インデックス状況の俯瞰。
プロンプト例
対象:{自社URL}と競合{3}社。
出力:タイトル/メタ/見出し構造/主要記事一覧/内部リンク網の簡易図、改善優先度Top5。
注意:有料ツールは使わず公開情報のみ。根拠URL必須。
6) サポート問い合わせの自己解決導線づくり
狙い:FAQ/ヘルプ/ブログを横断し“自己解決フロー”を提案。
プロンプト例
目的:{よくある質問テーマ}の自己解決手順を作る。
入力:{既存FAQ/ブログ/ヘルプURL群}
出力:①分岐フロー(Yes/No)②必要スクショ箇所③テンプレ返信文(敬語/カジュアル2種)。
7) 採用スクリーニング(公開プロフィール+募集要件)
狙い:候補者の公開情報をもとに要件適合度を採点。
プロンプト例
対象:{職種}の募集要件(スキル/年数/必須ツール)。
操作:候補者の公開プロフィール(LinkedIn等)を閲覧、スコアリング表を作成。
出力:適合度(100点満点)+根拠要素、懸念点、一次連絡テンプレ。
8) 広告運用の素材下書き(検索/ディスプレイ)
狙い:キーワード→広告文案→LP要素の“枠”まで一気に。
プロンプト例
目的:{商品/サービス}のGoogle/Yahoo広告の初期セット。
出力:①キーワード構成(完全一致/フレーズ/除外)②広告文案(3パターン)③LP改善要素。
注意:規約違反・誇大表現を避ける。根拠URLがある主張のみ使用。
9) EC/サブスクの競合プラン比較(Stripe等の表記差を正規化)
狙い:月額・年額・初期費用・解約/返金ポリシーを正規化して比較。
プロンプト例
対象:{競合サービス群}の価格・トライアル・解約条件。
出力:金額は税込/税抜を明記し正規化、返金/途中解約の注意点を脚注に集約。
形式:CSV+概要要約(3行)。
10) 法務・表示の抜け漏れチェック(特商法/プライバシー等)
狙い:公開ページの必須項目の存在/リンク可視性をチェック。
プロンプト例
対象:{LP/決済/特商法/プライバシー/利用規約}のURL。
出力:必須項目チェックリスト(有/無/要修正)、見つかった位置(URL+見出し)、推奨文の草案。
注意:法律判断は一般的な整備観点に留め、最終確認は専門家に委ねる。
うまく回すための“作法”
- 完了条件を一文で:「この状態なら完了」。
- 操作許可を明示:閲覧のみ/入力下書きまで/送信しない。
- 出力形式を固定:表・CSV・Googleスプレッドシート等。
- 根拠URLを必須化:推測ではなく一次情報を。
- “送信直前で停止”ガード:実操作を伴う依頼の安全弁。
- 再実行ポイント:空欄=再調査候補と明記。
失敗しがちな点(対策つき)
- CAPTCHA/ログイン壁 → 代替の一次情報や公開資料へ切替。
- 規約・レート制限 → 短時間の大量アクセスを避け、間隔/対象サイトを分散。
- 日付の古い情報 → 「更新日を抽出」「古い場合は“要再検証”と注記」をルール化。
汎用テンプレ(どの案件にも使える)
目的:{ゴールを1文}
入力:{既知の前提/URL/ファイル}
条件:{期日・予算・必須機能・禁止事項}
操作許可:{閲覧のみ / 入力下書きまで / 送信不可}
出力:{表/CSV/要約/テンプレ文}+根拠URL
完了条件:{この状態になれば完了}
例外時:{未確認/要再調査の扱い}
注意:送信直前で停止して私にレビューさせる
Lesson. 08|AIツール編